次亜塩素酸水を用いた皮膚一次刺激性試験結果

次亜塩素酸水200ppmを検体として, OECD Guideline for Testing of Chemicals 404(2015)に一 準拠し、ウサギを用いる皮膚一次刺激性試験を行った。検体をウサギ3匹の無傷及び有傷皮膚に24時間閉鎖適用した。その結果、除去後1時間に1例で非常に軽度な紅斑が見られたが、24時間に消失した。ISO 10993-10:2010、Biological evaluation of medical devices – Part 10に従って求めた一次刺激性インデックス(P. I. I.)は0となった。以上のことから、 ウサギを用いる皮膚一次刺激性試験において、検体は「無刺激性」の範疇に入るものと評価された。

検体
ジーミスト200(次亜塩素酸水 200ppm)

表題
ウサギを用いる皮膚一次刺激性試験

試験期間
2020年02月18日~2020年04月06日

試験目的
検体について、OECD Guideline for Testing of Chemicals 404(2015)に準拠し、ウサギにおける皮膚一次刺激性を調べる。

試験動物
日本白色種雄ウサギを北山ラベス株式会社から購入し、 1週間以上の予備飼育を行って一般状態に異常のないことを確認した後、 皮膚に異常が認められない3匹を試験に使用した。 試験動物はFRP製ケージに個別に収容し、室温23℃±3 ℃、照明時間12時間/日とした飼育室において飼育した。 飼料はウサギ・モルモット用固型飼料[LRC4, オリエンタル酵母工業 株式会社]を制限給与し、飲料水は水道水を自由摂取させた。

試験方法
各試験動物の体幹背部被毛を試験の約24時間前に剪毛した。
試験動物1匹につき、約6cm2面の面積で4箇所を設定し、そのうち2箇所には18ゲージの注射針を用いて、真皮までは達しないように角化層に井げた状のすり傷を付け(有傷皮膚)、他の2箇所を無処置(無傷皮膚)とした。
約2 cm×3cmに裁断したガーゼパッチに検体0. 5 mLを均ーに塗布し、無傷及び有傷皮膚の各1箇所ずつに適用した後、マルチフィックス ・ロール[アルケア株式会社]で固定した。 また、パッチが皮膚と接触するように、更にキープシルク[ニチバン株式会社]で保持した。 残りの無傷及び有傷皮膚は対照とした。
適用時間は24時間とし、その後パッチを取り除き、適用部位を注射用水で清拭した。 除去後1, 24, 48及び72時間に観察を行い、表-1に従って刺激反応の採点を実施した。
また、 ISO 10993-10:2010, Biological evaluation of medical devices – Part 10に従って、パッチ除去後24, 48及び72時間の採点値を合計して6で除し、更に各試験動物の平均を算出して一次刺激性インデックス(P. I. I.)とし、表-2に示した基準に基づき、検体の刺激性の評価を行った。
なお、試験開始時及び観察終了時に試験動物の体重を測定した。

試験結果(表-3及び4)
1) 試験動物①
除去後1時間に有傷皮膚で非常に軽度な紅斑(点数1)が見られたが、24時間に消失し、その後刺激反応は見られなかった。無傷皮膚では、観察期間を通して刺激反応は見られなかった。
2) 試験動物②
無傷及び有傷皮膚で観察期間を通して刺激反応は見られなかった。
3) 試験動物③
無傷及び有傷皮膚で親察期間を通して刺激反応は見られなかった。

採点結果から算出したP. I. I.は、0となった。
なお、いずれの試験動物においても無処置の無傷及び有傷皮膚では、観察期間を通して刺激反応は見られなかった。

結論
検体について、OECD Guidelin e for Testin g of Chemicals 404(2015)に準拠し、ウサギを用いる皮膚一次刺激性試験を行った。その結果、除去後1時間に1例で非常に軽度な紅斑が見られたが、24時間に消失した。 ISO 10993-10:2010, Biological evaluation of medical devices – Part 10に従って求めたが次刺激性インデックス(P. I. I. )は0となった。
以上のことから、ウサギを用いる皮膚一次刺激性試験において、検体は「無刺激性」の範疇に入るものと評価された。

参考文献
ISO 10993-10:2010, Biological evaluation of medical devices – Part 10: Tests for irritation and skin sensitization.

表-1皮膚反応の評価
紅斑及び痴皮の形成
紅斑なし……………………………………………………………… 0
非常に軽度な紅斑(かろうじて識別できる)………………………1
はっきりした紅斑……………………………………………………… 2
中等度から高度紅斑…………………………………………………… 3
高度紅斑(暗赤色)から紅斑の採点を妨げる痴皮の形成…………4
[最高点4]
* 壊死、潰瘍、脱毛、癒痕等の反応は深部損傷として点数4に分類した。

浮腫の形成
浮腫なし………………………………………………………………… 0
非常に軽度な浮腫(かろうじて識別できる)………………………1
軽度浮腫(はっきりした膨隆による明確な縁が識別できる)……… 2
中等度浮腫(約1mmの膨隆)………………………………………… 3
高度浮腫(1mm以上の膨隆と曝露範囲を超えた広がり………………4
[最高点4]

表-2 ウサギにおける一次刺激反応のカテゴリ ー

反応のカテゴリー P. I. I.
無刺激性
弱い刺激性
中等度の刺激性
強い剌激性
0〜0.4
0.5〜1.9
2〜4.9
5〜8

表-3 試験動物の体重(単位:kg)

試験動物 試験開始時 観察終了時
3.51 3.47
3.47 3.52
3.54 3.59

表-4 皮膚反応の採点結果(結果は紅斑・痂皮/浮腫の順に示した。)

観察時間 試験動物① 試験動物② 試験動物③
無傷 有傷 無傷 有傷 無傷 有傷
1時間 0/0 1/0 0/0 0/0 0/0 0/0
24時間 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0
48時間 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0
72時間 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0 0/0

※本試験結果は試料として切り出した一部のものであり、荷口全体の品質を保証するものではありません。
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