眼刺激性試験結果

次亜塩素酸水(200ppm)を検体として,OECDGuideline for the Testing of Chemicals 405(2017)に準拠し、ウサギを用いる眼刺激性試験を行った。
ウサギ3匹の片眼に検体を0.1 mL点眼した。その結果、点眼後1時間に2例で眼球結膜の発赤が見られたが、24時間に消失した。
Draize法に従って求めた観察期間中の平均合計評点の最高値は1.3(点眼後1時間)となった。
以上のことから,ウサギを用いる眼刺激性試験において、検体は「無刺激物」の範疇にあるものと評価された。

検体
ジーミスト200(次亜塩素酸水 200ppm)

試験期間
2020年02月18日~2020年04月06日

試験目的
検体について、OECD Guideline for the Testing of Chemicals 405(2017)に準拠し、ウサギにおける眼刺激性を調べる。

試験動物
日本白色種雄ウサギを北山ラベス株式会社から購入し、1週間以上の予備飼育を行って般状態に異常のないことを確認した後、3匹を試験に使用した。試験動物はFRP製ケ ージに個別に収容し、室温23℃±3 ℃、照明時間12時間/日とした飼育室において飼育した。飼料はウサギ ・ モルモット用固型飼料[LRC4, オリエンタル酵母工業株式会社]を制限給与し、飲料水は水道水を自由摂取させた。

試験方法
各試験動物の両眼の前眼部を試験開始当日に検査し、異常のないことを確かめた。
点眼5分前に、各試験動物の両眼に局所麻酔として0.4%オキシププロカイン塩酸塩を1~2滴点眼した。 片眼結膜嚢内に検体を0. 1 mL点眼し、約 1秒間上下眼瞼を穏やかに合わせ保持した。 他眼は無処置の対照とした。 点眼後1, 24, 48及び72時間に、スリットランプ(X 10)[株式会社 オー ヒラ]を用いて角膜、虹彩、結膜などの観察を行い、表ー1に示したDraize法の基準に従って眼刺激性の程度を採点した。
なお、点眼後1時間を除く各観察時間にフルオレセインナトリウムを用いて、角膜上皮障害の有無と程度を詳細に観察した。

得られた採点値を用いて各試験動物の合計評点を表-2に示した式から計算し、観察時間ごとに3匹の平均合計評点を求めた。観察期間中の平均合計評点の最高値から、表-3に示した基準に基づき、検体の眼剌激性について評価を行った。
なお、試験開始時及び観察終了時に試験動物の体重を測定した。

試験結果
1) 試験動物①
試験眼及び対照眼で、観察期間を通して刺激反応は見られなかった。また、試験眼及び対照眼について、フルオレセインナトリウムによる検査を行ったところ、すべての観察時間においていずれも染色は見られなかった。

2) 試験動物②
試験眼では、点眼後1時間に眼球結膜の発赤(点数1)が見られたが、24時間に消失し、その後刺激反応は見られなかった。対照眼では、観察期間を通して刺激反応は見られなかった。
また、試験眼及び対照眼について、フルオレセインナトリウムによる検査を行ったところ、すべての観察時間においていずれも染色は見られなかった。

3) 試験動物③
試験眼では、点眼後1時間に眼球結膜の発赤(点数1)が見られたが、24時間に消失し、その後刺激反応は見られなかった。対照眼では、観察期間を通して刺激反応は見られなかった。
また、試験眼及び対照眼について、フルオレセインナトリウムによる検査を行ったところ、すべての観察時間においていずれも染色は見られなかった。

観察期間中の平駒合計評点の最高値は試験眼では1. 3(点眼後1時間)、対照眼では0となっ た。

結論
検体について, OECD Guideline for the Testing of Chemicals 405(2017)に準拠し、ウサギを用いる眼刺激性試験を行った。

その結果、点眼後1時間に2例で眼球結膜の発赤が見られたが、24時間に消失した。
Draize法に従って求めた観察期間中の平均合計評点の最高値は1. 3(点眼後1時間)となった。以上のことから、ウサギを用いる眼刺激性試験において、検体は「無刺激物」の範疇にあるものと評価された。

参考文献
“Appraisal of the Safety of Chemicals in Foods, Drugs and Cosmetics” (1959) The Association of Food and Drug Officials of the United States.
白須泰彦、吐山豊秋:新毒性試験法—方法と評価—, 337-339(1985)エル ・ アイ・シー

表-1 眼障害の評価
(1) 角膜
(A) 混濁の程度(最も濃い領域を判定する)
透明、混濁なし…………………………………………………… 0
散在性及びび漫性混濁、虹彩細部は明瞭に認める…………… 1
半透明で容易に識別可、虹彩細部はやや不明瞭 ………………2
乳濁、虹彩紋理認めず、瞳孔の大きさをやっと認める………3
白濁、虹彩は認めなし…………………………………………… 4

(B)角膜混濁部の面積(S)
0<S≤1/4················································1
1/4<S≤1/2···········································2
1/2<S≤3/4···········································3
3/4<S≤4/4···········································4
[評点=A×B×5 最高評点··············80]

(2) 虹 彩
(A) 正常·················································0
正常以上のひだ、うっ血、腫脹、角膜周囲充血の1つ又はいくつかを認めるが,多少とも対光反射はある··········1
対光反射なし、出血、著しい組織破壊の1つ又はいくつかを認める··········2
[評点=A×5 最高評点······················10]

(3) 結 膜
(A) 眼瞼結膜及び眼球結膜の発赤
血管は正常·······················································································0
明らかに血管充血···········································································1
び漫性、深紅色で個々の血管は識別しにくい··························2
び漫性の牛肉様の赤色··································································3

(B)結膜の浮腫
腫脹なし·······················································································0
いくぶん腫脹(瞬膜を含む)····················································1
明らかな腫脹、眼瞼が少し外反···············································2
腫脹、眼瞼半分閉じる·······························································3
腫脹、眼瞼半分以上閉じる·······················································4

(C)分泌物
認めない·······················································································0
少し認める····················································································1
分泌物で眼瞼とそのすぐ近くの毛を濡らす·····························3
分泌物で眼瞼と周囲の毛のかなりの部分を濡らす…………4
[評点=(A+B+C)×2 最高評点·····················20]

表-2 合計評点の算出方法

部位 計算式 最高評点
(1)角膜 A×B×S 80
(2)虹彩 A×5 10
(3)結膜 (A+B+C)×2 20
(1)+(2)+(3)=合計点* 110

A, B及びCは,表ー1における(A), (B)及び(C)の採点値を示す。* 観察時間ごとに算出する。

表-3 眼刺激性の評価

平均合計評点の最高値 区分
0〜5.0 無刺激物
5.1〜15.0 軽度刺激物
15.1〜30.0 刺激物
30.1〜60.0 中等度刺激物
60.1〜80.0 中〜強度刺激物
80.1〜110.0 強度刺激物

表-4 試験動物の体重(単位:kg)

試験動物 試験開始時 観察終了時
3.69 3.63
3.25 3.18
3.54 3.50

表-5 合計評点の経時的推移(括弧内に対照眼の結果を示した。)

試験動物 各観察時間における合計評点
1時間 24時間 48時間 72時間
0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
2(0) 0(0) 0(0) 0(0)
2(0) 0(0) 0(0) 0(0)
平均合計評点 1.3(0) 0(0) 0(0) 0(0)

表-6 試験動物①の採点結果

観察部位 採点結果
1時間 24時間 48時間 72時間
(1) 角膜 混濁の程度(A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
混濁部面積(B) -(-) -(-) -(-) -(-)
(2) 虹彩 (A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
(3) 結膜 発赤(A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
浮腫(B) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
分泌物(C) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(1)= A×B×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(2)= A×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(3) = (A+B+C) ×2 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
合計評点 [ (1) + (2) + (3)] 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)

括弧内に対照眼の結果を示した。
ー:判定せず

表-7 試験動物②の採点結果

観察部位 採点結果
1時間 24時間 48時間 72時間
(1) 角膜 混濁の程度(A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
混濁部面積(B) -(-) -(-) -(-) -(-)
(2) 虹彩 (A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
(3) 結膜 発赤(A) 1(0) 0(0) 0(0) 0(0)
浮腫(B) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
分泌物(C) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(1)= A×B×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(2)= A×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(3) = (A+B+C) ×2 2(0) 0(0) 0(0) 0(0)
合計評点 [ (1) + (2) + (3)] 2(0) 0(0) 0(0) 0(0)

括弧内に対照眼の結果を示した。
ー:判定せず

表-8 試験動物③の採点結果

観察部位 採点結果
1時間 24時間 48時間 72時間
(1) 角膜 混濁の程度(A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
混濁部面積(B) -(-) -(-) -(-) -(-)
(2) 虹彩 (A) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
(3) 結膜 発赤(A) 1(0) 0(0) 0(0) 0(0)
浮腫(B) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
分泌物(C) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(1)= A×B×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(2)= A×5 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
評点(3) = (A+B+C) ×2 2(0) 0(0) 0(0) 0(0)
合計評点 [ (1) + (2) + (3)] 2(0) 0(0) 0(0) 0(0)

括弧内に対照眼の結果を示した。
ー:判定せず

※本試験結果は試料として切り出した一部のものであり、荷口全体の品質を保証するものではありません。
※本報告書の全部、または一部の無断転載・転用を固くお断りします。
※試験機関へのお問い合わせは迷惑になるためご遠慮下さい。